大判例

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仙台高等裁判所 昭和27年(う)409号 判決

婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令(昭和二二年勅令第九号)の趣旨とするところは論旨にいうように婦女の自由意思によらない売淫を禁止するにあることは同令が連合国最高司令官の覚書に基いて実施されたわが国公娼制度廃止後の同覚書の実効を期して制定された沿革に徴し疑いのないところである。従つて右勅令第二条にいわゆる婦女に売淫をさせることを内容とする契約とはその契約の結果婦女がその意思に反しても売淫をしなければならなくなるような内容の契約を意味するのであつて、婦女において売淫をするかどうかの意思決定に何等の影響力を与えないような契約は之を包含しないものと解するのを相当とする。今本件について之を見るに、原判決がその第二の一乃至五の事実として判示している被告人がW子外四名の婦女と締結した契約の内容は、同女等が被告人方に居住するに際し、同女等が被告人方三畳間で被告人の寝具を使用し時間ぎめで売淫した場合は一回につき金二百円夜半から翌朝までの約束で売淫した場合は一回につき金五百円をその代償として支払うこと、食事は一日百円の割合で給与することを内容とするものに過ぎないのであつて、その間前借金を支給するとか又は一定期間転居を制限して売淫をする等の条件が附されている訳でもなくいわば単に売淫の場所を提供してその代償を支払わしめることを内容とするものであり、売淫をするかどうかは全く同女等の自由意思に放任されていることが明かであるから、右の原判示事実は前記勅令第二条にいわゆる婦女に売淫をさせることを内容とする契約とはいわれない筋合である。果して然らば原判決が以上のような契約の事実を判示したのみで之に対し右勅令第二条を適用しているのは、右勅令第二条違反の罪の事実理由を完備しないか又は法令の適用を誤つたものであり、かつ、後者とすればその誤りは判決に影響を及ぼすことが明かであるから、いずれの点から云つても原判決は破棄を免れない。

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